私の経験側ですが「建築施工管理技士の力学は難しいから捨てて別のところで点を取ろう!」という方が非常に多い!!
もったいない!!!理解さえできてしまえばとっても点が取りやすい単元なのに!!
という訳で今回から何回かに分けて、なるべく簡単に、分かりやすく建築系の力学の解説をしていきたいと思います。
初回は苦手意識を無くしてもらう為に、力学に出てくる小難しい単語を日常の生活の中の現象に置き換えて解説をしていきたいと思います。

力学ってそもそも何?
「力学」とは、物体にかかる力のバランスや動きを考える学問です。
建築では、「建物がちゃんと立つようにするための力の計算」が力学の役割になります。
例えば、あなたが橋の上に立っているとき、もし橋がグラグラしていたら怖いですよね?
橋がしっかり支えられているのは、橋の構造が力のバランスを正しく計算して作られているからです。
建築物も同じで、柱や梁、基礎に「どのくらいの力」が「どのように」かかるのかを計算することがとても重要なのです!
力の釣り合い
「力のつり合い」とは、物体が動かずに安定している状態のことです。
例1:机の上のペットボトル
机の上にペットボトルを置いたとき、ペットボトルは動きませんよね?
これは、重力で下に押す力と、**机が支える力(垂直抗力)**がつり合っているからです。
☆ポイント: 下向きの力(重力) = 上向きの力(机が支える力) だから、物は動かない
例2:ロープの引っ張り合い
2人でロープを引っ張り合っていて、ちょうど均等な力になったとき、ロープは動かずにその場で静止しますよね?
これも、両側の力がつり合っているから動かないということです。
☆ポイント: 右に引く力 = 左に引く力 だから、ロープは動かない
モーメント(回転方向の力)
「モーメント」という言葉は難しく聞こえますが、実は日常の中でよく使っています!
例:ドアを開けるとき
ドアを開けるとき、ドアノブを軽く押すだけでスッと開きますよね?
でも、もしドアの「蝶番(ちょうつがい)」のすぐ近くを押したらどうでしょうか?
同じ力で押しても、ドアはほとんど動きませんよね?
これは、力をかける位置によって回転しやすさが変わるからです!
この「回転する力」のことを「モーメント」といいます。
☆モーメントの公式: モーメント = 力 × 距離(M = F × L)
(※Mはモーメント、Fは力、Lは力をかける距離)
つまり、今回のドアの例に当てはめると、蝶番からの距離(L)が大きくなるほどモーメントは大きくなります。
例えばドアを開けるのに10のモーメントが必要だったとします。距離Lが2の場合は力Fは5必要ということになりますが、距離Lを大きくしていき、距離Lを10にした場合、力Fは1で良いということです。
支点反力の考え方(橋や建物を支える力)
建物や橋は、支え(支点)があることで安定しています。
この支点がどれくらいの力を受けているのかを計算するのが「支点反力」です。
例:シーソーの支点
シーソーは真ん中の支点(支え)でバランスをとっています。
左に50kgの人、右に50kgの人が座っているとき、シーソーは動かずにつり合いますよね?
これは、支点が左右からの力を均等に受けているからです。
でも、左に50kg、右に80kgが乗ったらどうなるでしょう?
→ 右に傾いてしまいますよね!
このとき、シーソーを支える支点には、どちらか一方に大きな反力が発生します。
☆ ポイント: 支点の位置や重さの分布で、支点が受ける力(支点反力)が変わる
せん断力と曲げモーメント(梁の強さを決める!)
建物の梁(はり)には、上からの力がかかります。
そのとき、梁の中では「せん断力」と「曲げモーメント」が発生しています。
せん断力(Shear Force)とは?
せん断力は、梁をハサミで切るような力のこと。
例えば、パンを両手で持って、手前と奥に引っ張ると裂けるのと同じです。
建築では、梁が壊れないように、このせん断力を考えて設計します。
曲げモーメント(Bending Moment)とは?
曲げモーメントは、梁が曲がる力のこと。
例えば、机の端に重い本を置くと、机がたわむことがありますよね?
この「たわみ」を計算するのが、曲げモーメントの考え方です。
☆ポイント:梁はせん断力と曲げモーメントの両方に耐えられるように設計されている!
ちなみに、例えば私が鉛筆を持ってきて「この鉛筆を二つに分けてください」と言ったら、あなたはどのようにしますか?まさか引っ張ってちぎる人はいないと思います。多分曲げて折る人がほとんどだと思います。なぜでしょう?
それは物体が曲がる力に弱いことを今までの経験から知っているから。つまり、曲げモーメントは部材を壊しやすい力と言えます。
力学がわかると何ができるの?
まずは試験に合格できます。
実務的には建築物がどのような考え方で成立しているか、どの向きにどのように力がかかっているかを理解することができます。
これらの知識は建物の品質を守るスペシャリストとしては欠かせないものとなっています。
もちろん、この単元で点数を取らなくても試験に合格することはできますが、その分他の部分を勉強しないといけません。
試験勉強をしていく上で建築の力学は、一見すると難しく感じるかもしれません。
でも、身近なものに例えて考えれば、実はとてもシンプルなルールでできています!
🎯 力のつり合い → 物が動かない理由を知る!(机の上のペットボトル)
🎯 モーメント → 力のかかる位置で回転のしやすさが変わる!(ドアを開ける力)
🎯 支点反力 → 建物や橋を支える力を計算!(シーソーのバランス)
🎯 せん断力・曲げモーメント → 梁がどのくらいの力に耐えられるか!(机のたわみ)
理解さえしてしまえば点数のとりやすい分野なので、是非これからの記事を読んで得意分野にしていって欲しいと思っています!
次回はもう少し問題部分に触れていきたいと思いますので、是非ご期待ください!!
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そこまで高性能・高価なものでなくても十分計算することができます。
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